83house & ACERO

所在地:埼玉県  用途:店舗併用住宅  種別:新築  構造:木造  延床面積:141.08m2

美容師である奥様の美容室を併設した店舗併用住宅。
敷地は南側に墓地、東側には大型店舗の駐車場という南東に大きく開かれた角地である。
北側に住宅、道路沿いに美容室、南側の空いたスペースを住宅・美容室の共有庭、という配置計画。周囲の住宅に抗わず、できるだけ突出せずにその場所に自然に建つ事が出来るかを考えた結果である。美容室を併設していることもあり、外観は、一目で「住宅」と「美容室」がわかるようにシンプルな形の組み合わせとしている。部材の経済性を考慮して階高を設定し、屋根裏空間の居住性・ソーラーパネルの効率的な角度・周囲の建物との関係性から屋根の形状は決定されている。
対照的に住宅内部は、旦那様の要望であった『スキップフロア形式』を採用。外観からは想像がつかない『6層の床レベル』によって様々な大きさの空間が緩やかに繋がり合い、無駄無くスペースを活用している。
回遊性を持った半地下のフリースペース、障子を開放するとリビングと繋がる客間、屋根までのぼるダイニングの吹抜け、朝日が注ぐ天窓があるキッチン、はしごを登りたくなるロフトなど。全てはこの家での日常を楽しく、豊かなものにする空間的な仕掛けとなっている。(テキスト・写真撮影:川原崎)

埼玉県の郊外に建つ美容室を併設した住宅

北側に住宅を寄せ、道路沿いに店舗、空いた南側に住宅と店舗の共有庭。周囲の住宅に抗わず、如何に突出せずにその場所に自然に建つ事が出来るかを考えた配置計画

『住宅』と『店舗』という異なる用途をアイコニックな形の組み合わせで表現。無機質な外壁材とサイプレス(オーストラリア檜)の手摺と玄関扉

住宅のエントランス 墨モルタルの塊とサイプレスを張った扉

 

リビング・ダイニング・キッチンは一続きの空間 ダイニング上部の吹き抜けとキッチン奥のトップライトから採光を取り込む。フローリングはオークの無垢材

中2階に和室、半地下には回遊性をもった多目的スペース(階段下を通って玄関へと続く)

キッチン上部のトップライトからは朝日が降り注ぐ。

ステンレスの塊のようなキッチン。左側の扉は美容室へと続く。

建具を開け放つと上下左右へ空間は緩やかに連続する。

ダイニング上部に挟まる2階木張りの床を見上げる。吹抜けを介して2階の気配も感じる事ができる。

トップライトによって明るい2階の踊り場 1.5階〜2階〜2.5階とスキップフロアが展開する。

屋根面までの大きな吹抜け空間に露した構造材が横切る。

2.5階のロフト付き寝室 ロフト階も含めると全体で5段階の床レベルが存在する。

1席の美容室『ACERO』 グリットのパーテーション兼陳列棚は大工さんが製作。

うっすらとグリーンの色が着くカラーコーナー。奥は住宅キッチンへと続く。