フジタコドモクリニック
所在地:神奈川県横浜市磯子区 用途:小児科医院 種別:インテリアデザイン
グラフィックデザイン:マウント 小山俊一
施工:アンファング
神奈川県横浜市の磯子駅近くの小児科医院「フジタコドモクリニック」の計画。
医院の設計にあたり施主からは、患者の立場に寄り添いながら今の時代の小児医療の現状に沿うスムーズな診察とオペレーション(運用)が可能なプランニングが求められた。
具体的には、受付から診察、会計までを「診察室」で完結するという既存の医院にはないワンストップサービスである。患者は予約した時間に医院に行くとそのまま個室の「診察室」に案内され、そこで医師を待ち、診察を受け、会計も済ませることができるという新しいスタイルである。これによって待合での感染の危険を回避できるだけでなく、荷物やベビーカーを持っての移動も最小限となり、同伴者の負担も軽減される事になる。
待合、診察、会計と多くの機能を併せもつこの「診察室」は、オペレーションが可能な室数として5室計画している。また診察室内には、通常当たり前にある医師のデスク、椅子、パソコン、患者の椅子、診察用ベッドが無く、代わりに患者が腰掛けるベンチソファとスツール(みたいなテーブル)、そして大きな「樹」があるだけである。この大きな「樹」には子供だけが入れる穴があいており、診察を待つあいだの遊具であったり、少しでも子供たちがリラックスして診察受けれるようにという思いが込められた仕掛けである。
計画が始まった今年初めには、世界がこんなに変わってしまうとは想像もしなかったが、施主の熱意と施工会社の精確な施工によってコロナ禍であっても、無事完成を迎えることができた。フタを開けてみるとコロナ時代に相応しい新しいスタイルの小児科医院が完成したのではないだろうか。
テキスト:クルー 川原崎唯史 写真:マウント 小山俊一
長い廊下の突き当りとなるエントランス。オートドアを入ると受付がある
待合コーナー。距離を取った3つのベンチシートは階段状になっている
レッドの診察室入口。1軒の家をモチーフにした診察室のマーク。カラーは部屋内の色を示す
診察室に入ると「大きな樹」がある。子供だけが入れる穴があいていて、診察を待つあいだの遊具であったり、少しでも子供たちがリラックスして診察受けれるようにという思いが込められた仕掛けである
診察室によってさまざまなカラーがある。枝のあいだからは「木の実」のような照明が下がる
トイレへとつづく不思議なマーク。あえて既存のトイレマークは避け、子供の興味をそそる不思議な水滴マーク
手洗いコーナー。床のヘキサゴンタイルとリンクしたモザイクタイル