千駄木の2棟の共同住宅 Twin apartments in Sendagi

所在地 :東京都文京区千駄木
用  途:共同住宅
種  別:新築
構  造:鉄骨造 3階建て 
面  積:130m2,180m2
構造設計:周設計 平木裕文
施  工:ワコーコンストラクション 和田一宏 古沢佑生

緑豊かな“区立須藤公園”の近くに位置する文京区千駄木の閑静な住宅街に建つ2棟の共同住宅の計画である。
道路に面する敷地に建つ<U棟>と、旗竿状に分割し奥まった敷地に建つ<T棟>で構成されている。
道路以外3方向が隣家に近接する密集した住宅地の中で、2棟は別々の敷地でありながら、わずかでも採光・通風・開放性を享受できるように、また2棟が何気なくつながり合う関係性を築けるように、T棟敷地の竿状部分を活かす計画とした。
旗竿地の形状を更に助長するように、T棟アプローチは1階の住戸まで延ばし、路地の奥に入っていくような印象を創っている。道路から視認可能な屋外階段は、奥まった敷地のデメリットとなる防犯対策・火災時の避難の問題もクリアしている。
またU棟のアプローチを外廊下として開放することによって、住人同士の新しい関係性を誘発する空間となっている。U棟は階段室、2・3階の住戸もT棟アプローチに積極的に開放することで、敷地東側にある須藤公園の緑も室内に取り込む事に成功した。
ダークな外観は、今でも江戸時代から続くお屋敷街の重厚感と、谷根千で人気の下町的雰囲気が共存する千駄木の街に自然と溶け込むように選定されている。

テキスト/写真:クルー建築設計事務所 川原崎唯史

Location:Sendagi Bunkyo-ku Tokyo Function:Apartment house Type:New construction Total area:130m2,180m2 
Design: Krew architects Tadashi Kawarasaki
Structural design: Shu sekkei Hirofumi Hiraki
Construction:Wako construction Kazuhiro Wada,Yui Furusawa
Text/Photo by Tadashi Kawarasaki


道路に面するU棟外観


奥に見えるT棟とアプローチに面するU棟外観。U棟のアプローチを外廊下にすることで両棟の住人にゆるやかな関係性を作る。


U棟屋内階段。T棟アプローチに面して窓を設けている。採光と通風と共にT棟と視覚的につながる。


U棟3階のワンルーム。T棟アプローチに面して設けた窓からは須藤公園の緑が望める。部屋の中心に設けたブルーのボックスは、間仕切りとして機能し、背面から利用できる大きな収納になっている。


U棟2階のワンルーム。右側をリビング・ダイニングとして、左側をベッドコーナーとして利用可能。


U棟2階の窓からの風景。道路を隔てた隣家の緑を拝借する。


U棟の水回り。コンパクトながら細かな賃貸の要望にも対応した設備となっている。


U棟3階のドーマー。区立須藤公園の豊かな緑を拝借する。


T棟玄関。玄関土間に手洗器を設置。正面の窓からリビングダイニングの気配が感じられる。


T棟リビングダイニング。囲まれた隣家の隙間から採光・通風を得るため、南側外壁は屈折している。


T棟リビングダイニングからキッチンを見る。右側に寝室2室を備えている。


T棟階段間仕切り。両棟の共用部には窯業系スレート板を木造建築の伝統工法「下見張り」で仕上げている。今でも江戸時代から続くお屋敷街の重厚感と、谷根千で人気の下町的雰囲気を共存する千駄木の街に溶け込む材料である。


T棟階段間仕切りのデティール


U棟アプローチの壁にも窯業系スレート板「下見張り」の仕上げ。


以前この敷地で使われていた御影石の平板をT棟のアプローチに敷設し再利用している。


T棟の屋外階段から見える区立須藤公園の樹木


道路に面するU棟外観


奥に見えるT棟とアプローチに面するU棟外観。U棟のアプローチを外廊下にすることで両棟の住人にゆるやかな関係性を作る。