料理と酒『やすもと』

所在地:東京品川区武蔵小山  用途:飲食店  種類:インテリアデザイン  延べ面積:27m2  施工:ワコーコンストラクション

武蔵小山駅前の再開発にともない、持ち上がった店舗移転の計画。
同じ武蔵小山駅近郊で、『使い慣れたお店のカウンターをまた利用したお店にしたい。』という店主の要望であった。新しい店は、メインとなるカウンター席と2組程度のテーブル席というコンパクトなお店である。
メインカウンターは、以前のお店で使っていた5mの銀杏無垢材をほぼそのままの長さで移設。先端に向けてテーパー加工を施し、シャープな印象に変えている。
カウンター席の背面壁は、『木毛セメント板』で仕上げた。通常、『機能材』として使われている建材を、和の空間を彩る『意匠(仕上げ材)』として採用した。木と水とセメントを固めてできたこの素材は、どこか日本料理を感じさせる『勝手なイメージ』である。
奥に設けたテーブル席も、元のお店にあった大きな銀杏のテーブルを加工して製作した。
厨房内には、日本の釜元でつくられた青磁のボーダータイルを配した。
照明は、メリハリをつけて、『白木の材=その上にのるお料理』が浮かび上がるイメージを想像していた。
前のお店から持ち込んだ『白木の材』に、また新たな息吹を注ぎ込めたのではないだろうか。
(テキスト・写真撮影:川原崎)

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全長5mある白木(銀杏)無垢カウンターをほぼそのままの長さで移設。手前部分を現場でテーパー加工し、シャープな印象に変えている。

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カウンター席の背面壁は、国産ヒノキの間伐材を100%使用した木毛セメント板で仕上げている。『機能材』であり、和の空間を彩る『意匠(仕上げ材)』として採用している。

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テーブル席。こちらも元のお店にあった大きな白木のテーブルを加工して製作。

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店主のお母様の書を飾る為に設けたニッチ。背面は、こちらも木毛セメント板。

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日本の窯元で作られた青磁のボーダータイルが柔らかく浮かび上がる。

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シンプルでコンパクトなパウダーコーナー。

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壁と天井はジョリパット。白木とのバランスを考慮し、彩度を抑えた色を選定。

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明暗をつけた照明計画。『白木の材=その上にのるお料理』が浮かび上がるイメージ。

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仰々しい看板はなく、足元を照らす行灯サイン+暖簾のみ。気になって入ってきてくれるお客様が増えたとのこと。

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白木で製作した踏み台が、やさしくお客様を迎えてくれる。