krew architects : クルー建築設計事務所

那須のテラス

所在地|栃木県那須町
面積|140m2
構造|鉄筋コンクリート造
用途|テラス
種別|増築
設計・監理|クルー建築設計事務所 川原崎唯史
構造設計|周設計 平木裕文
協力会社|監修:CRC アンリ・ゲイダン 造園:大森プランツ 佐々木清志郎
施工|福田建設 担当:長沼正志
撮影|クルー建築設計事務所 川原崎唯史
Location:Nasu Tochigi 
Area:140m2
Structure:Reinforced Concrete
Function:Terrace 
Type:Extension
Design:Krew architects/Tadashi Kawarasaki
Structural Design:Shu sekkei/Hirofumi Hiraki
Partner Companies:supervision:ciel rouge creation(CRC) Henri Gueydan Landscaping:OOMORI PLANTS
Construction:FUKUDA KENSETSU/Masashi Naganuma
Photo:Krew architects/Tadashi Kawarasaki
森に浮かぶ家に、もう一枚のキャンバスを

栃木県那須町。
別荘が建ち並ぶ公道から門扉をくぐると、鬱蒼とした木々の間をうねる小道が続く。
約200m進んだ先に、鈍く光るシルバーの外壁と、鋭く尖った方形屋根が現れる。
16年前に建てられた、ある著名なアーティストのセカンドハウスである。
アーティストの逝去後、建物は別のオーナーへと引き継がれ、そして今回、三人目のオーナーとなる施主からの依頼によって本計画は始まった。

デザインに造詣の深い施主は、この建物の背景を自ら丹念に調べ上げた。
そして、当時設計を手がけたフランス人建築家アンリ・ゲイダン氏に辿り着く。
アンリ・ゲイダン氏による設計であることを知り、既存建築のコンセプトを尊重しながら増築を行うことを望まれた。

要望は明確だった。
「この住宅の思想に沿うデザインで、南側に多用途に使えるテラスを増築してほしい。」

テラスという“まっさらなキャンバス”
多用途という曖昧で自由な要求に対し、このテラスを一枚の“まっさらなキャンバス”として構想した。
既存テラスから階段を降りると、緩やかに南へ下る斜面の上に、幅14m、奥行10mの板状の構造体が現れる。
それは極めてシンプルな「スラブ」である。
基礎から四方へと跳ね出す構造は、既存住宅と同様の浮遊感を持ち、森の地形の上に静かに置かれている。

シンボルツリーとして残した美しいアオハダの樹。
地表から突出する巨大な岩。
それらの位置関係によって、この板の寸法は必然的に決定された。
そしてその比率は、偶然にもキャンバスの規格に用いられる「白銀比(1:1.414)」に相似していた。
建築的操作によって導かれた寸法が、芸術のための比率と重なったのである。
既存建築への敬意を払いながら、森の中にもう一枚のキャンバスをそっと差し出す。
それは何かを規定する空間ではなく、使い手によって完成される余白である。

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