| Location: | Musashikoyama Shinagawa,Tokyo |
|---|
| Function: | Japanese cuisine restaurant |
|---|
| Design: | Krew architects/Tadashi Kawarasaki |
|---|
| Construction: | Wako construction/Kazuhiro Wada |
|---|
| Photo: | Krew architects/Tadashi Kawarasaki |
|---|
白木を継ぐ、武蔵小山の店
武蔵小山駅前の再開発に伴い持ち上がった、店舗移転計画である。
店主の要望は明快だった。「使い慣れたお店のカウンターを、また活かしたい。」
新店舗は同じ武蔵小山駅近郊。メインとなるカウンター席と、2組程度のテーブル席からなるコンパクトな構成である。
主役となるのは、以前の店舗で使用していた全長5mの銀杏無垢材のカウンター。ほぼそのままの長さで移設し、先端に向かってテーパー加工を施すことで、以前よりもシャープな印象へと更新した。
使い込まれた白木に、新しい輪郭を与える。それが今回の設計の出発点である。
カウンター背面の壁は「木毛セメント板」で仕上げた。通常は下地や機能材として扱われる素材を、あえて仕上げ材として採用。木と水とセメントが混ざり合ったその質感は、どこか日本料理を連想させる――そんな感覚的なイメージも決め手となった。
奥のテーブル席には、旧店舗にあった大きな銀杏のテーブルを再加工して使用している。厨房壁面には、日本の窯元で焼かれた青磁のボーダータイルを配した。白木の柔らかさと、青磁の静かな艶が対比を生む。
照明はあえてメリハリをつけ、白木のカウンターと、その上に置かれる料理が浮かび上がるよう計画した。光は空間を照らすのではなく、素材と料理を際立たせるための装置である。
再開発によって場所は変わったが、使い慣れた白木の材は再びこの街に戻ってきた。
前の店から持ち込んだ素材に、新たな息吹を吹き込み、次の時間を重ねていくための空間である。